2017年6月13日火曜日

#万葉集 巻3 0302番 安倍広庭

兒等之家道 差間遠焉 野干玉乃 夜渡月尓 
競敢六鴨
 
子らが家道 やや間遠きを ぬばたまの 夜渡る月に 
競ひあへむかも
 
こらがいへぢ ややまどをきを ぬばたまの よわたるつきに
きほひあへむかも
 
可愛い恋人の家まではちょっと気後れしそうな距離
だけれども暗闇をの道を照らすように
夜空をゆく月と競うようにして行けば
月が沈むまでには大丈夫だ着けそうだよ


 
児等:恋人を指す愛称、あのこ。家道:いへぢ:通い道。帰り道ではない。
間遠き:距離感の表現。やや間遠き、でちょっと遠い。


* 安倍朝臣広庭 あべのあそみひろにわ

  • 生没年 659(斉明5)~732(天平4)
  • 系譜など 右大臣御主人(みうし)のむすこ。毛人・沙弥麻呂・嶋麻呂らの父。長屋王の妾安倍大刀自(賀茂女王の母)の近親か。
  • 略伝 慶雲元年(704)七月、従五位上で父の功封百戸をつぐ。和銅二年(709)十一月、伊予守。この時正五位下。四年四月、正五位上。和銅六年(713)一月、従四位下。八年五月、宮内卿。養老二年(719)一月、従四位上。五年正月、正四位下。同年六月、左大弁。翌年(722)二月、参議に就任し、知河内和泉事を兼ねる。神亀四年(727)十月、中納言。天平四年(732)二月、薨ず(74歳)。従三位中納言。懐風藻に詩二首、万葉に歌四首がある。