2011年3月3日木曜日

春行 興に寄す


今日の詩

       春行寄興  李華

       宜陽城下草萋萋 
   
       澖水東流復向西
   
       芳樹無人花自落
    
       春山一路鳥空啼
    

宜陽城下 草萋萋
澗水東流し復た西に向う
芳樹 人無く 花自ずから落ち
春山一路 鳥空しく啼く

萋萋 せいせい
澖水 かんすい


宜陽城下は草がぼうぼうと茂り
谷川は東に流れ、また西に向かう
木々のかぐわしい花はそのままに散っていき、
春山に一路の道あり、人気ないあたり鳥が鳴いている。

春行寄興 題は「春のそぞろ歩きのうた」といった感じの題だろうか。
自落・空啼は対になっている。「自ずから落ちる」も
「空しく啼く」も人の介在なしに在る様子を表現している。
空しい山「空山」が人気ない山を云うのと同じこと。
萋も人手を予想しない生え方であろう。


関係の有無は知らないが
芭蕉の「行く春や鳥啼き魚の目は泪」の句を憶いだした。

春が来たと実感できた日に読むにはこんな詩がいいかなと。

城下というのは中国語では「城壁の下」か「都城のあたり」だろう。
ここでは「町はずれ」と読めばいいのだろう。

日本では城下町というものがあるが中国では
居住区や商工区は城内だから、城下というのは郊外になるだろう。
宜陽の町はずれには春の草が生え出ている、という風景。
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まちはずれに でてみれば
草ぼうぼう

かわは めぐり ながれて
ひがしへ にしへ

はるの ののみち どこまでも
ひとけも なし

はなぎに かぐわしく さく はなも
ひとり おち

きく ひとも なく 
とりは なく

――― 意味はこのような組立だろうか。


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